第30回日本小児突然死予防医学会学術集会
松岡 健太郎(東京都立小児総合医療センター 病理診断科)
第30回日本小児突然死予防医学会学術集会を東京都立小児総合医療センターにいて開催させていただきます東京都立小児総合医療センター病理診断科の松岡健太郎です。日本小児突然死予防医学会は小児科医・法医学者・病理医さらにはコメディカルの方々も含め、小児の予期せぬ死亡を予防してゆくために相互の垣根を超えて共に学ぶ、大変ユニークな学会であり、本年度の学術集会を開催させていただき大変光栄に存じます。
本学会は昨年まで”日本SIDS・乳幼児突然死予防医学会“という名称で活動しておりましたが、取り組む領域・検討対象を「すべての小児死亡症例」に拡大し、わが国の小児死亡検証における中心学会としての役割・使命を果たしていくという目標を掲げ、”日本小児突然死予防医学会“と改称しました。今回は新学会名の元で開催する初めての学術集会となります。
私たちよりもずっと未来の世代を担う存在である子供が、予期せぬ事故、病気で亡くなってしまうのは家族のみならず、社会全体の悲しみであり、本来あってはならないことです。小児突然死の原因を解明し、その予防に取り組むことは社会全体の責務であり、われわれ医療者が率先してその重要な役割を果たすことが不可欠です。本学術集会を通じ、小児科・法医・病理、さらにはコメディカルという専門性、職種の枠を越えて会員が相互に知見・意見を交換することにより、子供たちの将来を安全かつ安心なものとしてゆきたいものです。
本学術集会では、この目的を達成するために、この分野の現状と将来の展望を明らかにしたいと、教育講演、シンポジウム、ワークショップを企画しています。教育講演では、病理学・法医学の立場から松山高明先生(昭和大学法医学教室)、新井信隆先生(株式会社Kiasma&Coonsulting)に病理解剖学的な知見をご教授いただきます。また、臨床の現場の立場から、濱田洋通先生(千葉大学小児科)には循環器疾患究明のための医療整備と地域連携について、井原哲先生(東京都立小児総合医療センター脳神経外科)には虐待による乳幼児頭部外傷についてお話しいただきます。また、シンポジウムとして、本会のメインテーマである“小児突然死解明の現状と将来への展望”さらにチャイルドデスレビュー(モデレーター 名古屋大学 沼口敦先生)、グリーフケア(モデレーター 小保内俊雅先生;東京都立多摩北部医療センター小児科)を企画しています。一般演題も募集しますので、是非多数の応募をお待ちしております。
西国分寺は東京駅から45分ほど、羽田からも1時間半のところにあります。東京都立小児医総合医療センターのある多摩メディカル・キャンパスは、東京西部多摩地区の高度・先進的な医療の拠点で、都立多摩総合医療センター、都立神経病院と相互に連携しています。武蔵野の面影を残す当地にてみなさまにお会いし、活発な議論ができることになればこの上ない幸せと存じます。